どんなトレーニングをして
効果をどう測る?
松高地トレーニングのデメリットや注意点(⇒前回記事を読む)にも気をつけながら、みなさん2泊3日など、短期滞在でもできるだけ効果的な練習をしたいと思うんですが、どんな内容がいいですか?
杉ある程度、運動ができる人を想定していますが、初日は午後からトレーニングするとして、ランならゆっくり長めのクロスカントリー、スイムならペーススイムで乳酸が出るか出ないかの閾値レベルで身体を慣らします。
初日はそのくらいで様子を見て、2日目の朝練習は40~60分ぐらいのジョギング、 午前中はインターバルなどちょっと強度の高い練習、午後はまたゆっくり長めのトレーニングですね。
3日目も頑張るなら、同じく40~60分間の朝練習をして、午前中はちょっと速めのペーススイムで終えて、午後に帰るイメージでしょうか(表C)。
表C 2泊3日 週末高地トレーニングの例〈ある程度トレーニングできている人向け〉

松どのようにすれば、高地トレーニングの効果がわかりますか?
杉高地トレーニング前に、ペースランニングしたときの心拍数や乳酸値を記録しておきましょう。下山した翌日に同じ運動をしたときは、心拍数も乳酸値も下がっていると思います。
松採血が必要な乳酸値は一般の人は簡単に測れないと思いますが、他に何か測る方法はありますか?
杉主観的な運動強度を測るスケールがあります。自分が行っている運動がどれぐらいキツいかを、6~20で自己採点するんです。6が一番楽で、20が一番キツい。13ぐらいがややキツい、15がキツい。それをもとに同じペース走をしたときのキツさの感覚が変わると思います。呼吸も楽に感じるでしょう。
松高地トレーニング前後で比較して、主観的にでもよくなったと感じられるといいですよね。
杉注意していただきたいのは、高地トレーニングを頑張った後はかなり疲れます。しっかり睡眠をとってリカバリーし、仕事や勉強なども詰め込まないほうがいいですね。
松当然、ダメージはありますよね。高地トレーニングが合うかどうか適性や個人差があるので、大会前にぶっつけ本番で行くのではなく、1回試しておいたほうがいいですね。今回はトライアスロン合宿なのでスイム・バイク・ランの3種目の練習があるのですが、高地トレーニングの効果で3種目の違いはありますか?
杉運動の形態が違うだけで、効果は同じと考えていいと思います。ただ私が感じているのは、水泳は元々、呼吸を制限しながら運動しますよね。高地でのスイムはより低酸素の状態になるので相当キツいはずです。
松現役時代の苦しい思い出があるんですけど、競泳はターン後に15mくらい潜れるんですが、高地ではその15 mを潜るのがすごくキツかった。
杉一般の人が同じことをすると、身体に負荷がかかり過ぎるかもしれない。だから、欲張らずに普通に泳ぐぐらいでいいと思います。
いるだけでトレーニング
リラックスして楽しもう
松最後に、これから高地トレーニングをやってみようという方へメッセージはありますか?
杉高地トレーニングは身体を作り変える刺激を与える環境に行くので、体調には十分留意してください。日本の選手はみなさん真面目で、一生懸命に高地トレーニングに取り組みます。一生懸命やった選手でも結果が出ないということもよくあって、逆にちょっと体調が悪い、キツいと言って軽い練習しかできなかった選手が、その後よく走れるというケースもあります。
松自分の体調と相談して、高地にいるだけでトレーニングになるので、ハードにやらないといけないと思わないように、無理をしないでリラックスした気持ちで高地トレーニングを楽しんでいただくのがいいと思います。




